所得税誤りやすい事例

先日、確定申告関連の研修があり、その中で税務署の個人課税課及び消費税課で取りまとめた研修用教材を使用して「誤りやすい事例」について税務署職員の方から説明がありました。研修用教材は全75ページで全部は確認しきれないので特に気を付けて欲しい事や新たに追加された事例についての説明になりました。少しだけ復習してみました。

誤りやすい事例①・・・令和5年1月1日以後、事業所を納税地とする場合、事業所を納税地とする届出書の提出が必要と考えている。

【説明】令和4年12月31日までは、事業所を納税地とする場合、住所地の所轄税務署長に対して、その旨を記載した届出書を提出しなければなりませんでしたが、令和5年1月1日以後は、届出書の提出は不要です。ただし、事業を廃業(法人成り)した場合には、納税地を事業所から住所地へ変更する必要があります。

誤りやすい事例②・・・申告義務がない場合、3月16日以降に確定申告書を提出しても青色申告特別控除は、55万円又は65万円が適用できると考えている。

【説明】55万円又は65万円の青色申告特別控除の適用を受ける場合は、法定申告期限までに確定申告書を提出する必要があります。(令和3年分以後について申告義務の見直しが行われて還付申告の場合は、申告義務がなくなったので勘違いしないように誤りやすい事例として説明がありました。)

誤りやすい事例③・・・過去に遡及して国民年金の支払いを受けた場合、その全てについて支払を受けた年分の収入にしている。

【説明】年金の収入計上時期は、その支給の基礎となった法令等により定められた支給日であるため、前年分以前の期間に対応する年金が一括して支給されても、年分ごとに区分して収入金額を計算します。

誤りやすい事例④・・・控除対象配偶者である妻名義のiDeCoの掛金を夫が支払った場合に、夫の小規模企業共済掛金控除として計算した。

【説明】社会保険料控除とは異なり、自己が契約した掛金を支払った場合に、その支払った金額について控除を受けることができます。したがって、控除対象配偶者が負担すべき掛金を夫が支払ったとしても、夫がその掛金を控除することはできません。

誤りやすい事例⑤・・・令和5年中に取得した中古住宅について、当年の合計所得金額が1,000万円以下で、床面積が40㎡を超えていれば、住宅借入金等特別控除が適用できると考えている。

【説明】床面積が40㎡以上50㎡未満(特例居住用家屋)の住宅について、住宅借入金等特別控除の適用ができるのは新築又は建築後使用されたことのない建物が対象となります。